おすすめbook 2「ほんとうの『和』の話」広田千悦子

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▼私の地元の大楠地区に住んでいる作家が、新刊を出した。「ほんとうの『和』の話」という本だ。装丁も黒を基調として著者本人が描いたかわいい和の品々が並んでいる。素敵な本だなぁと正直そう思った。

▼現在発売されている「文芸春秋」二月号にこの本の紹介が綴られていると聞き読まさせていただいた。今の時代を読み解く鍵や新たな解決策を見いだす鍵が「和」の文化の中に毅然とあることに気づかされた。

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▼「和の神」は八百万の神。いにしえの日本人は、天・地・海・山・木・自然の中に神を見いだした。そんな中で、いのちが今日も無事に生かされている事を「ありがたい(有り難い)」、めったにあり得ないことと、奇跡的なこととらえていた。自然の動きは神の動きでもあり、出会うものとのご縁を大切にしてきた。間口は広く大きな視点。深い懐、排除しないが太い芯をもつ世界観である。

▼「和菓子」は季節の草花、空、風、水の流れなどの趣が、小さな形に盛り込まれる。「葛桜」「冬のおとずれ」「黄身時雨」などの「銘」の響きが美しい。季節のようすが素敵なイラストとともに描かれる。

▼「和暦」は、江戸のどの家庭にもあったというベストセラー。暦の世界を探検する。大小の月、方位の吉凶、月の満ち欠け、とりわけ、二十四節期・七十二候が面白い。1年の季節が24、さらに、72の区分で示されている。例えば、「立春」「大寒」「啓蟄」などは、時候の挨拶でも使われてきた。

▼72候となると、より季節感が強い。2/4~2/7「東風解凍」(はるかぜこうりをとく)、3/20~3/24「雀初巣」(すずめはじめてすくう)、「大雨時行」(たいうときどきにふる)と暦に時候の名前がついている。これも年によって期間が変わるらしい。ぜひ言葉から季節を感じてみたい。「蟷螂生」(かまきりしょうず)や、「蟋蟀在戸」(きりぎりすとにあり)、等というものもある。いつ頃のことか、思いを馳せていただきたい。
▼自然とともに生活していた暮らしのあり方がうかがえるとともに、すべてはつながっていて、大きな流れとともにある。大きな和の意味が見えてくる。

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須軽谷から相模湾を望む

▼これ以外にも、和装・和楽器・和語・和食・・と和の意味を一つ一つ読み解いていく。ほんとうの「和」とは何なのか。私たちの心と体、人と人の中に存在する空気のような「和」。しかし一方で、ほんとうの「和」が、現代文化の中で、薄くなってきている事にも気づく。

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▼聖徳太子は、十七条の憲法で「和をもって貴しとなす」と唱えた。だが、この内容の「和」は、現代文化の中でいつの間にか、「空気を読めとか、人に合わせなさい」と言う意味と誤解されているのではないか。

▼憲法十七条の原文に当たると、ただ「仲良く」ということを言ったのではない事がわかる。「道理を正しく見出すために党派、派閥的なこだわりを捨てよ」と教えている。今風に言えば、政策決定のプロセスの中で 、きちんとした公正な論議をしていくことで道筋をつけることが、ほんとうの「和」の意味なのだ。

▼本書は、「和」にかかわる物事についての解説の本ではない。「和」自体が、古来からの哲学なのだ。これからの生き方についても深く示唆をしていただける本だと思う。

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「ほんとうの和の話」
http://www.amazon.co.jp/ほんとうの「和」の話-広田-千悦子/dp/4163759808/ref=pd_rhf_se_p_t_2_HGBG



憲法十七条の解説
http://www.geocities.jp/tetchan_99_99/international/17_kenpou.htm

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