大楠連合町内会が「意向調査」をとりくみました。

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▼12月22日、寒い雨の中、集約作業が始まった。7時半すぎから、会場に入った。芦名町内会の皆さんが準備を早くからやっていただいて、早め早めに作業が進んだ。意向調査委員には町内会長さんが兼任していただき、作業者は町内会から2名、自治会から1名を出していただいた。また、立会人として、町内から1人ずつの9名と一般希望者から6名で15人。総勢45人程のメンバーで集約作業を行った。

▼配布と回収に時間がかかり、確実にできるかが一番心配だったが、班長さん組長さんはじめ、町内会の役員さん、そして会員さん達がきちんと組織的に仕事が進められた。一週間延びたことも、準備ができスムーズにできた要因かもしれない。とにかく町内の皆さんの丁寧な仕事ぶりに驚いた。

▼作業は、封筒の数と大封筒の数を確認した。マンションなどの別荘は極端に回収率は低かったが、どの班も8割を超える回収率だ。全員出している班も多い。自由記載欄にはぎっしりと書いてある調査用紙がずいぶんとあった。賛否のみの投票行為よりも、やはり自由記載欄をもうけた意義を感じた。

▼自由記載欄の分析と検討をしていく必要がある。圧倒的に反対に投票した方が、意見を書いている。その思いもまちまちだが、知事に対しての不信感や芦名地域の処分場をめぐる思いから書いていただいたものも多くあった。

▼結果は全体で見れば僅差のように見えるが、反対が132票上回った。事前に会員に配布した要項においても、「意向調査の結果を基に、連合町内会としての結論を出す。」としていていたことから、終了後すぐに臨時の総会を開催した。

▼意見は、「結果を尊重」するということで速やかにまとまり、「連合町内会として、反対」ということを必ず明記することを確認した。今回の意向調査の目的は、当初から「住民の声を聞かずに前には進めない」ということから始まったことだ。その意向をもとに進めることとなった。

▼とにかく、この結果をよしと思う方も、困ったと思う方もいるだろうが、町内会が結束して行った「意向調査」は、かなりの精度で「民意」を表していることは間違いない。一週間前の衆議院議員選挙よりもはるかに高い投票率だ。関心の高さがわかる。

▼とりわけ芦名地区での反対が多かったことが、結論に影響した。個別の町内会ごとの数字は出していないが、芦名では反対が大きく上回ったことは予想通りであった(非公式でおおよそ、賛成270 反対400)。芦名の差が、おおよそ最終的な132の差になったことは意味が深い。もともと「協定書」は、芦名町内会と県との間のものだ。そういった意味では、芦名の意思が結果に大きく反映されたということになる。当事者性をもつ芦名の判断であるとすれば、今回の意向調査の意味合いもより強くなる。芦名のみの差でいえば、「僅差」ではなく「大差」であることに着目したい。

▼今後、一番の思いは、町内会の方たちは疲れているのが本音だ。「これで終わりにしてほしい」というのが本当の気持ちだ。

▼被災地の支援について、必要な支援は大きく変わってきている。漁網については、既に入れないという民意が出ている。今後、支援の在り方をもう一度問い直す作業から始める必要がある。


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岩手の漁網受け入れ問題 受け入れ「反対」 県の埋め立て計画困難に--横須賀・住民意向 /神奈川

毎日新聞 12月23日(日)
 
東日本大震災で被災した岩手県からの漁網(ぎょもう)受け入れ問題で、県が漁網を埋め立てる方針の県営産業廃棄物処理場の地元、横須賀市の大楠連合町内会は22日、受け入れの賛否を問う住民意向調査の集計結果を公表した。反対が1695世帯と賛成1563世帯を132世帯上回り、連合町内会は「反対」を住民総意として集約することにした。年明けに黒岩祐治知事に文書で意思表明する方針で、漁網受け入れはきわめて困難になった。【田中義宏】

 調査は、10町内会・自治会に加入する4644世帯(総世帯の約9割)に用紙を配布。3498世帯が回答(回答率75・3%)し、集計には各町内会役員、第三者の市民らが立ち会った。
 10町内会・自治会のうち9団体については「賛成」「反対」の二択で聞き、それに先だって「賛成」「どちらかと言えば賛成」(以上賛成)、「反対」「どちらかと言えば反対」(以上反対)、「どちらとも言えない」の五択で聞いた1団体の結果を加えた。
 記者会見した連合町内会の長谷川俊夫会長(80)は「数が拮抗(きっこう)しているところに、町民の苦しみが表れていて、それ故に調査をせざるを得なかった。小差ではあるが連合町内会は『反対』の意思表明をさせていただく」と硬い表情で語った。
 また被災地に対し「このような結果になり、何も申し上げられないが、町の若い者がほかの復興支援を模索しており、連合町内会も協力し、何らかの形で力添えしていきたい」と述べた。
  ◇  ◇
 「災害がれきを受け入れ、焼却灰を埋め立てる」と黒岩知事が県議会で突然表明したのが昨年12月。地元に承諾を得ない提案に多くの住民には「パフォーマンス」と映り、外部から反原発市民団体なども入り乱れて説明会は混乱した。矢面に立った長谷川会長は賛成、反対双方から非難や罵声が浴びせられたことも。それでも処分場建設時の混乱を念頭に「町を二分し、疑心暗鬼を呼ぶようなことがあってはならない」と冷静に努めた。
 今年7月、黒岩知事が漁網受け入れ提案に転じ、連合町内会も真摯(しんし)に向き合い、住民の意向を聞いて集約することにした。反対が上回った結果にある住民は「処分場建設のわだかまり、知事への不信感が根強い」と語った。
 黒岩知事は「皆様にご了解いただくことができなかったとの連絡で大変残念。横須賀市の意見もうかがいながら今後の対応を検討したい」とコメントした。

12月23日朝刊


神奈川新聞

黒岩祐治知事が震災がれきの受け入れを表明してから1年。「焼却灰」から「漁網」へと廃棄物が変わっても、受け入れ先とされた県最終処分場(横須賀市)の地元住人が出した答えは「ノー」だった。賛否の数は小差。地元住民には独自の被災地支援を探る動きもある一方、県の提案には首を縦に振れなかった。背景には、県の廃棄物行政に対する根強い不信感がある。

 「(賛否が)拮抗(きっこう)している。苦しみがあった」。22日午後、意向調査結果を受けて会見した長谷川俊夫・大楠連合町内会長が、住民の気持ちを代弁した。

 意向調査で賛否を決めることを連合町内会が決めたのは「この計画をめぐって地域にいさかいが生じ、住民が疑心暗鬼になる」(長谷川会長)ことへの懸念があったからだった。

 住民の賛否を一括集計したのもそうした配慮からだが、住民の一人は「処分場に近い地域では反対意見が多かった」。処分場建設時に地元が混乱した歴史があるのに、調整が不十分なまま震災がれきの受け入れ構想を表明した知事への不信感が、いまだにくすぶっているという。

 県の担当者にも22日、連合町内会から電話で調査結果と「反対」の意思が伝えられた。

 担当者はため息をつく。「洋野町と野田村には近く結果を伝える。結果はまったく想定していなかった。横須賀市長も賛成してくれていただけに残念だ」

 当初は「地元の意向に寄り添う」として自身の賛否を明確にしてこなかった吉田雄人市長も、11月に被災地を視察した上で「受け入れをお願いしたい」と、態度を明示していた。市長は連合町内会幹部にも「一任してほしい」と打診したが「意向調査を実施して決める」と固辞された経緯がある。

 「批判に耐えてきたが、重荷だった。できれば解放してほしい」。長谷川会長は本音を漏らした。

 意向調査の結果、地元住民は漁網受け入れに反対の意思を示すことになった。しかし、処分場周辺の地元からは独自に被災地支援を探る動きも出ている。被災者と相互に訪問し合いながら支援を進めるというその構想は、地域の若手が年明けにも固める予定だ。



東京新聞

漁網ごみ受け入れ「反対」 連合町内会「苦慮の結果」横須賀  2012年12月23日

 
東日本大震災で被災した岩手県の漁網ごみを横須賀市にある県の最終処分場に受け入れる計画について、処分場がある大楠連合町内会は二十二日、住民に行った意向調査の結果、受け入れ反対を決めた。長谷川俊夫会長は「住民それぞれが苦慮した結果だ。連合町内会としても反対を表明する」と話した。
 意向調査は町内会に加入する四千六百四十四世帯に一世帯一票として五日から用紙を配り、十八~十九日に回収。三千四百九十八世帯から回答があった。二十二日朝から開票し、反対が千六百九十五票、賛成が千五百六十三票、白紙や無効が二百四十票となった。
 長谷川会長は「賛否は拮抗(きっこう)した。そこに住民の苦しみがある」と苦悩の表情を見せた。そして「被災地のみなさんには申し訳ない。ただ、別の形で力添えをしたいと考えている」と話し、地元の若手が中心になって被災地の要望を把握し、復興支援に取り組む考えを明かした。県には後日、連合町内会として受け入れ拒否の考えを文書で伝える。
 決定を受け、黒岩祐治知事は「大変残念だ。横須賀市の意見も伺い、今後の対応を検討する」、県の計画に賛成の立場を表明していた吉田雄人市長は「残念だ。知事の判断に対して協力できることがあればする」とそれぞれコメントした。
 黒岩知事は昨年十二月、被災地の可燃性がれきの焼却灰の埋め立て計画を表明したが、住民の強い反発を受けて断念。代わりに岩手県の漁網二千トンを焼却せずに埋め立てることを提案した。 

東京新聞
2012かながわ取材ノートから(7) 漁網ごみ受け入れ問題 支援の「強要」に疑問   2012年12月27日

 二十二日午後。横須賀市の県最終処分場近くの住民でつくる大楠連合町内会の長谷川俊夫会長の顔は、疲れが色濃くにじんでいた。東日本大震災で被災した岩手県の漁網ごみ二千トンを処分場に埋め立てる県の計画に対し、住民意向調査の結果を踏まえ、受け入れ反対を決めた。

黒岩祐治知事が、震災がれきの焼却灰埋め立て案を突然表明してから一年。受け入れる物が「焼却灰」から「漁網」に変わっても、住民の答えは変わらず「ノー」だった。市の担当者は「住民が意思を決めた以上、無視して進めるのはスマートではない」と、計画の座礁を指摘した。

 調査には三千四百九十八世帯から回答があった。無効や白紙を除いた結果は、反対千六百九十五票、賛成千五百六十三票。長谷川会長は「拮抗(きっこう)した。そこに住民の苦しみが表れている」と話す。ある住民は「処分場に近い地域で反対が圧倒的に多かった」と打ち明ける。そして「反対の理由は処分場建設時に地域が混乱した経緯と、黒岩知事への不信感だ」とも言い添えた。


 一月の焼却灰受け入れに関する県の説明会では会場運営の準備不足が目立った。被災地視察の映像は「パフォーマンス臭」が漂うテレビ番組仕立て。反原発市民グループも来場し、やじが飛び交った。黒岩知事の住民を軽んじるような発言も反発を招いた。

「『処分場建設時の経緯があるから、慎重に』と何度も県に言ったのに」。ある市職員が明かす。横須賀市は、全国から寄せられた地元への非難や、連合町内会役員が矢面に立って中傷される状況に、水面下での調整役を買った。

 黒岩知事は七月、連合町内会役員に謝罪した上で、代案の漁網の受け入れを打診。十一月の説明会では会場運営に気を配り、知事は被災地支援の重要性や放射性物質による汚染の心配がないことを主張した。ただ「処分場を造られ、協定外の県外廃棄物も…。なぜここだけが無理を強いられるのか」と泣く住民の訴えに、知事は答えを返すことができなかった。

 取材をする中で、県側が「被災地のため」という言葉を何度も使うのが気にかかった。正論を突きつけられたら、不安や疑問は口にしにくくなる。住民の迷いや不信感をくんだ上で、向き合っているとは思えなかった。

 連合町内会が住民の意向調査に踏み切ったのは、地域が二分するのを危ぶんだからだ。住民たちは今、自分たちならではの被災地支援を探っている。相互訪問をし、交流を深める形を考えている。

 被災地を思えば、誰もが手を差し伸べたいと考える。ただ、その方法はそれぞれが決めていいはずだ。少なくとも、政治家や行政が「復興支援」の旗を掲げて押し付けるものでは、ない。 

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