地理感覚を育てる

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1・はじめに
地理授業を展開するに当たり考えた。「地理の授業で何を教えるのか。」「生徒が社会に出て理を学んで役に立つこと」はなんだろうか。考えた結果、生きる力につながる地理授業のおおきなポイントとして「地理感覚」を考えてみた。

2・地理感覚とは
私たちは試験で正しい答えを求める。漠然とした答えや何となくといったファジーな解には×をつけてきた。しかし社会に出て必要な「地理感覚」は、そういったファジーなのではないのかということである。
「仙台はどの辺」と聞かれたときに、正確に答えらることよりも自分の中にあるマインドマップ(イメージの地図)の中で「東北のこのへん」と答えるのが普通なのである。一般社会の中で必要な「地理感覚」とはそういった「感覚=「勘」を身につけることなのだと思う。日常のニュースの中で全国の、世界の様々な地域のようすが映し出される。この情報を子供たちはどう受け止めるのであろうか。
マインドマップがない生徒はすべての地理情報や知識は抜けてしまう。きっと「日本のどこか」「世界のどこか」で終わってしまうのである。アット・ランダムに流れてくる情報の中からその地域を判別し知識を繋げていける力「地理感覚」こそ「地理の授業」の第一の目的なのではないかと考えた。

3・一体どうしたらよいのか
・まずは地図を見る習慣である。地理の授業でどれだけ地図を見るのだろうか。授業内に関係が深ければ「地図を開いて」といって利用する程度であった。つまり時々・必要応じて利用する程度である。地図を見なければマインドマップは作れないのである。
地図を見る習慣はどこから来るのか。これはある程度のスキルが必要である。地図に浸る時間である。自分が中学生の頃地理の時間といえば「地名探し」をよくした覚えがある。社会科係が前にでて難しい地名を探した。授業前に4個~5個をみんなで探した。これも自分が地図を好きになるひとつのきっかけであった。これもヒントの一つであった。まずみんなで「ワイワイ・楽しい」これが重要なポイントである。しかしこれだけでは実際の力としては不十分である。地名探しをもっと発展する必要がある。そして・・・・

4・小グループ学習へ
 ことの発端は5月に教えたはずの「緯度・経度」を1月に入って子どもに聞くとクラスの8割が忘れていたことから始まる。自分なりにショックを受けた。何がいけなかったかということである。5月の授業では一斉授業で説明を中心に進め、何題か質問をして、子供たちに例題を解かせ。解答を発表させ。1時間の授業ですませた内容であった。「これは教師の教え方の問題である。」もう一度やり直そうと考えた。
 社会科はどうしても説明・語りが多くなる。【黒板に書き、板書させ、質問し、理解した子を指名して、発表させて単元を終える。】全国の津々浦々で伝統的におこなわれている授業形態を変えていくことが必要であると考えた。
 
ちょうどその頃研究委託を受けている「フロンティア」の研修の中で数学の授業の中4人班の授業が有効であるという話を聞いた。社会科でもとりあえずそれをやってみようと考えた。通常6人~7人班で構成しているがこれでは人数が多すぎて教えあい、理解状況を班長が把握できない。しかし3人~4人班レベルだと有機的に子ども集団が機能することがわかった。「班員が全員わかったら手を挙げて。」「わからない人がいたらまわりで教えてあげて」
 教師が教壇を離れ巡回をする中で子どもとの関わりが変化する。個々ようすが深く見えてくる。個々のつまずきや個々の理解度が見えてくる。
 しかし、すべての面で小グループがいいわけではない。討論ではコの字型や知識理解を押さえる時は一斉授業形式も効果がある。要はその授業の目的が実現しやすい授業隊形を選別すことが必要である。今回の実践は「地理感覚を身につけるためには小グループ学習が有であるか」という仮説についての取り組みである。

5・授業を準備する。
何も準備しなくてもできる。これがもっとも大切なことである。たいてい大きな授業研は研究の積み重ねを問われることから、仕掛けの立派な時間をかけた授業である1時間の授業準備に何週間もかけたような授業を誰が普段からできるのか。 研究授業しかできないような授業は、多くの人が日常で使えるものではない。そういった意味で誰でもいつでも、教師と生徒がいて、地図帳がひとり一冊あれば始められるのである。

6・授業をする。
①・まず、4人班をつくる。生活班を基本として4人班を使ったが、特別教室などを利用して授業をするならば、社  会科のための4人班を作れればなおよいだろう。
②・4人班でリーダーをひとり選出する。
班長とする。(こちらから指名しても良い)
③・ゲームの説明・

Ⅰ・【首都さがし】(10分)
 班ごとに地図の中から出題者が首都の名前を出 題し、国名と緯度経度を答えさせる。わかったら赤ペンで○を  つけさせる。
出題者はなかなか見つからなかったらヒントをだす。正解者が次に出題する。
※国名だと緯度経度を特定できないので首都がいい。ヒントの出し方を工夫させる。
 
Ⅱ・【日本地名探し】(10分) 
Ⅰと同様にやるが、答え方が「緯度」「経度」だと緯線・経線の幅が大きく特定できないのでここでは指で押さえる  ことでよいとする。
  全員が指で押さえられたら、そこを赤ペンで○をつけさせる。

Ⅰ・Ⅱのゲームの間・教師は生徒のようすを見ながら、緯度経度の見方がわかってるか。地名についてのヒントの出し方・集中力の度合いなどを見ながら進めていく。

発展
【国旗カード】4人班に40枚づつ渡してカードゲームをする。(これはずいぶんやった)
            「くもん」の国旗カードがいい。10セットぐらい買っておくといい。

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【都道府県別 パズル】パズルをグループでとりくむ。

④・効果 
  一斉学習に比べて、答える回数が圧倒的に増える。主体的に活動する時間が長いので  学習活動が継続的に集中して行われている。地理感覚がどれだけ育ったかは、実証できないが、何かを調べる力、は格段に高くなったと思われる。少なくとも、みんな「授業に向かう姿勢に覇気があります。」「教室に入ると・・きらきら目線が飛び込んできます。」

・こういう場合は小グループ学習をしてはいけない。【小グループ学習をするに当たって】
 
①教師が「はい、やめて。こちらを向いて」と指示しても5秒以内に集中できないとき →それができるまで何度も練習します。指示が聞けない集団には向きません。
②小グループの中での人間関係が悪い場合。
→ある特定の子をさけたり、無視したりする場合。生徒指導が必要です。
③地図帳や・教科書を忘れる生徒がいる場合。
→人のものを見せてもらうことでは学習は自分のものにはなりません。
④教師の側でグループに応じた「少し難しい課題」を提案できる。
→だらけてサボる生徒が全体に悪影響が出ます。
⑤わからないことが恥ずかしいことだという意識が強い集団。
→みんなわからないから勉強するんだ。わからないことをわからないと言える集団にする。


8・終わりに

準備はいらないが、日常の中での授業をする子どもと教師の関係が重要である。簡単にえば「教師が指示をしたときに①聞くことができる②課題に一生懸命取り組むことがでる③良い意味の緊張感と満足感・集中力」そういったことを教師は意識的に演出する。少なくとも社会科の授業は楽しい・わかる。ということがあって、小グループは初めて能する。様々な工夫ができる内容なので、他の場面での活用も考えている。


この文章は2005年に書いたものです。「地理感覚」という言葉、自分でも気に入って、「歴史感覚」「公民感覚」
など社会科を知識集約型のものでなく、生きた力としてどう作り変えることができるか、現場の子供たちの実践で
取り組んでいました。
 この年の子供たちは、まあ、素直で、「さあこれはどうかな」とちょっと質問をすれば、「ハイ・ハイ」とほとんど全員が手を上げて、「自分を指してくれ・・」といわんばかりの子供たちでした。 大して怒ることもなく、わくわくしながら授業展開ができたと思います。
「子供と教室でどう向き合えるのか」という答えは、時に教室の中だけにない。
 ・・・家庭でけんかして来た生徒・友達と言い争いをして気持ちが横向きになった生徒、手紙や友達とふざけたいと思っている生徒、できればサボりたいと思っている生徒、塾で勉強したからそんなのつまらないと思っている生徒・・・・ いろいろな生徒がいて、その上で「授業を聞いてみたい」「授業が面白い」「授業がわくわくする」という段階にいたるまでには、教師自らが、授業を楽しむ体と心を作らなければならない。また授業以前の問題は授業以前に子供との関係性の中で、整理しておく(授業は授業だよ)とともに、一定の信頼感・安心感の上で「学ぶ」という営みがあると思う。  とにかく、「よく話をし、よく話を聞く」という子供たちとのコミュニケーションが一番大切であり、その上に、「授業もある」ということは間違いない事実である。教師はその上に立って、
「発想のやわらかさ」、「授業の素材(教材)の新鮮さ」を追求する中で、「子供の今と向き合える授業」がある。
今回のゲームはそこに至る授業の入り口でしかない。中学1年の1~2学期にやった実践である。小学校でもできます。

【小グループ学習をするに当たって】と上記で、厳しいことを書いたが、グループ学習は、諸刃の剣である。ただ、やってみようとして、中途半端な取り組みは、「ぐちゃぐちゃ」になるだけである。グループ学習を進めるには、学年内の他の教科の教師と一緒に取り組むことが必要である。グループでやることの意味をお互いに理解していることが大切である。そして、きちんとルールを決めて、「その上で常に、修正点があれば、停めて、なぜ今のことがだめなのかを理解させながら進める必要がある。」
これを1年生で作れていれば、後は何も、教師が怒らずとも・・okですよ。

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